- デューキュアとは?
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葉面湿気抑制剤です。
米国の芝草管理者から葉の湿気を抑制する剤は何かないのか? という要望の元で、実に7年間を費やして米国の二人の博士が共同開発した、他社には無いゴルフ場ターフ専用の商品です。- 葉面の露、霜、葉面内部からしみ出す液(いつ液)、雨、散水の過剰な水分などを抑制します。
- 雨、散水、霜の後の葉面を早く乾かします。
- どうして葉面の濡れている時間が病気と関係あるの?
濡れている時間が長いほど発病率が高くなるからです。
例えば、ダラースポット、ピシウム、ブラウンパッチ、紅色雪腐病、炭そ病、ほか多数の葉面に発生する病害は葉面の濡れ時間が発病と深く関係が有ります。夜間の散水、雨、夜露、葉面内部からしみ出す液(いつ液)などは葉面の濡れ時間を長くします。そのことが病原菌の侵入を助長して、発病に至ります。葉の気孔からしみ出る、いつ液の中に糖分、アミノ酸、肥料成分などが病原菌の活動源(エサ)となり、病原菌がその気孔を通して、逆に葉の内部に侵入し発病に至ります。
〔ペンクロスの気孔数は、葉面の裏、表合計で約276個/平方ミリ。参考文献:芝草と品種、P.67 〕- デューキュアはいつの季節に使うの?
低温期には霜よけ用として、また病害の多い時期には病害抑制として使用していただけます。
霜の時期には、シートのかけ、はずしの労力を減らしまた、スタート時間を遅らせるのを短くします。病害のストレスがかかる時期にはその前に予防散布として使うのがベストです。
- デューキュアは何日ぐらい持続するの?
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低温期は葉の伸びが遅いので、シーズン中よりも持続期間が長くなります。米国ラトガース大学での葉面湿度センサーの計測データ(8月)では散布14日後でも無処理区と比較して葉面の湿度を低くしました(テータ グラフ②参照)。日本のゴルフ場での実際の使用結果では、生育シーズン中で散布 2~7日経過してから、見た目での露が少しずつ帯び始めたりもします。
デューキュアは葉面にコーティングをするので、新しく伸びた葉面やモアーで刈り取られた部分が日ごとに増えてくるにつれ、濡れ具合の抑制力が少しずつ減っていきます。新しく伸びた葉面には露が付くので一般的には目に見えての抑制力は散布後の翌日から徐々に弱くなり始めます。
- デューキュアはどの様にして効くの?
葉面をコーティングして効きます。
葉面に霧状散布して、それが乾くと葉面の表皮と成分が固く結合し水の浸透を防ぐ(完全防水ではない)耐久性のあるコーティングをして水分を転がり落とします。
- デューキュアの稀釈濃度は変えても良いの?
いいえ、変えないで下さい。
1.5%濃度(水100Lに対して本剤1.5L)を年中どのタイミングでも必ず守って下さい。 濃度が変わると効果が低下します。
- 農薬とタンク混合して良いの?
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混合OKKですが、その前にテスト散布をして下さい。しかし液肥、浸透剤との混合はやめて下さい。いったん乾いた後は液肥、浸透剤の散布はOKです。
ラトガース大学での研究でデューキュアは多数の一般的な成長抑制剤、殺菌剤、除草剤、殺虫剤と混合可でした。しかし、液肥や土壌浸透剤とは混合不可です。
初回から数回は本剤を単独散布してご自身の目で効果をご確認下さい。
その後、テスト散布をして混合に問題ないかを確認し、ご使用下さい。 - デューキュアを散布後、すぐに散水してよいの?
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いいえ。必ず乾くまで待って下さい。
付着成分は完全に葉面で乾かないと意味がありません。
もし乾かない内に散水すると成分が流れ落されてしまい効果が落ちてしまいます。 - デューキュアを使うと葉面呼吸、養分、水分補給が出来なくなるのでは?
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全く問題ありません。
葉面の気孔(空気や病原菌の出入する穴)にフタをするわけではありません。
ですから葉面呼吸、葉面散布、水分補給は出来ます。
また芝草は多量の水を必要としますが、そのほとんどを根から吸収するので、問題ありません。 - 露、霜を取るほかの方法は?
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色々な方法があります。
たとえば扇風機、グリーン刈り、シートかけ、ブローワーで飛ばす、竹竿で露払いなど色々な方法があります。しかし、その露払いをするまでに既に前の夜から数時間濡れています。また露が再び乗る(再生)時もあります。
デューキュアを使うことによりグリーン刈り(モーアー)での病気の伝染を抑えます。
またシートのかけはずし、ブローワーの労力を他の作業に回せます。 - デューキュアをスプリンクラーシステムに注入出来るの?
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いいえ。注入出来ません。
散布倍率が一定でないので注入出来ません。本剤は、浸透剤ではないからです。
- デューキュアとは何の分類に入るの?
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今までに無かったので、新しい分類です。
デューキュアは葉面湿気抑制剤です。展着剤、植物成長抑制剤でもなく、農薬、土壌浸透剤、活性剤、葉面散布剤でもありません。
葉面の湿気を少なくし霜や病害を減らすというのは、日本でも、米国でも、今までに無かった分類の資材です。
しかし、その考え方や方法(竹竿などで露払い)は昔からありました。農薬使用量をできるだけ減らして芝生の管理をしたいという考えは何も今に始まった わけではありません。今も昔も、芝草管理者が骨を折っていかに芝生の品質を落さずに、農薬の使用量を削減出来るかと懸命に努力しています。 それは、日本、米国、英国、どこの芝草管理者でも共通課題なのです。